皆様のおかげで今がある

想い

朝礼で使う職場の教養。
8月3日は「誰かに支えられて」というお題で、謙虚な気持ちで生活しようというものだったが、まさしく私も多くの方に支えられて今がある。感謝あるのみである。
1999年 55歳で綬褒章を授与された時、「定年後は社会のために生きよう」と心に決め、顧問を辞したのち62歳で、写真技術で社会に恩返しようと起業した。

写真は「撮った時が見たい時、100年先に遺して楽しめるから価値がある」はずだが、起業した当時、デジカメ写真はシステムの進化や媒体の寿命で、30年後には再生できないかも知れない。。という基本的な不安があり未解決の課題であった。
HDDもメモリーカードもOSも、寿命はたった10数年、100年はおろか30年先に写真を伝えることは出来そうもなかったのである。

コニカミノルタ㈱定年前の数年、この難問に挑戦、100年先も安心保管のHOTALBUMを開発した。
そして2006年、コニカミノルタ㈱が写真事業から撤退するのを期に、ホットアルバムコム㈱を起業して、「社会から写真を救おう」と、撤退したコニカから特許の譲渡を受け、HOTALBUMの開発と販売を進めた。
デジタルの開発はすごく大変なことだし、金もかかる。押し寄せる変化に対応していかなければならない。
Windows1つ取っても、XP、Vista、7、8…など、頻繁にバージョンアップしていかなければならない。
コニカの時代、私の部門でもデジタル開発では10億近くの予算をつぎ込んでいたし、それを個人の自己資金でやるとなると無理なのは明白だったが無謀にも私は挑み続けた。

結果として、クラウドという概念や、ジョブズのitunes iphoto iphoneに負け、写真は携帯で撮って終わりの時代となり、膨大な借金をのこし、退職金も貯金も株も全てゼロとなってしまったのである。だが、そこで得たものが今の私を形作っている。
定年後に会社を興し大きな仕事すると言う事は、退職金、株、貯金すべて注ぎ込むことになる。老後のためなどのお金を残したら会社はやれないわけだ。

コニカからの退職金、コニカの持ち株、私の貯金と女房の貯金すべて使い果たし、さらに借金が7,500万円もあった。
何もしなければ ゆっくり悠々自適に余生を過ごすことが出来たはずだが、私の場合破産は覚悟のうえでの起業だった。
紫綬褒章いただき陛下の言葉に感動し、定年後社会のためにと決めた時点で、女房にこう言った、「定年後は私はいないと思ってくれ、死んだつもりになってくれ。退職金も株も貯金もすべて使わせてくれないか?」年金だけでやっていってくれと頼んだのだ。

2011年頃、ジョブズが死ぬ直前、私はほぼ資金ゼロで7,500万の借金があり、翌月全額返済期限が来ていた。
自己破産という手もあったのだが、そんなことは男がするものではない。
自殺に見えないよう死んでお詫びし、生命保険で返そうと考えていた。
女房を抱きしめ、泣きながらお別れをし、翌日から3日間、女房の小さい車で直角で人に迷惑かけない場所は無いか?と捜し歩いたが、なかなか死ねるところはない。

3日目の夕方、家に帰ると妻が、「一度お兄さんに相談したら」と勧められた。
実家は裕福でやさしい兄だが、金を借りることなど絶対にしたくなかったので、今まで頼ったことなど無かった。
だがもう出口がない、最後のお願いをしようと思っていつものようにお茶飲みに来た態で座敷に上がり込んで話を始めた。

兄は全てお金は払ってあげよう、だが「お前は懲りずに何度でも挑戦するだろう、ここで仕事はもうやめると約束しろ」と言うのだ。
だが私は仕事を辞めろという約束はできない、何故なら私は仕事をしないなら死んだほうがましだと思えたのだ。
仕事をやめるぐらいなら、死んだと同じ!あきらめなければ必ず出口はある!と再起を決心し、兄には断ったのである。
この時、兄は勿論、子供たち夫婦も姉たちも皆、「破産してきれいになって家に来い、お米も野菜もいくらでもあげる」とか、
娘夫婦たちも、「悪いことをしたわけでもなく、みな社会のためにやったこと、胸張って破産して家に来なさい、お父さんたち夫婦くらい幾らでも食わせる余裕はある」とか、とにかく涙が出るくらい皆優しかった。
家族はいいな、兄弟はいいなと涙が止まらなかった。

特に妻は、「常にあなたの好きなようにしなさい」と一切の愚痴ひとつ言わず、私をじっと見守ってくれている。
そして時々、あらまだ生きていたの?死んだのではなかったの?
と茶化してくる、会社の社員もそうだが、自分が一人でやっていそうな気になるが、それは気持ちだけ。
周りの人が全て支えてくれているのである。
この時この人たちに感謝することが出来たから、次の炭酸泉入浴剤の発明を神様からのご褒美として 舞い込んできたのである。
ここから事態は好転してゆくのですが、話が長くなるので、また別の機会にお話ししたいと思う。

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