互換性はお客様のため

ビジネス

お客様優先の重要な機能に互換性がある。

コンパティビリティーとユニバーサルデザインは非常に重要な機能である。私が人生の大半を過ごしたアナログ写真の世界では徹底して互換性を重視してきた。135ミリのフィルムサイズやパーフォレーション、カメラや現像処理など、すべたが規格で統一し、どこのメーカーのものでも、世界中どこの店でもプリントできるよう、共通、互換の中で、すべての開発が行われ、各社の競争は其の規格の中でのみ行われた。競争はフィルムの粒状性であったり、色の綺麗さやシャープネスであったり、現像処理の安定性であったりしたが、その中でも10年に一度位、互換性を無視した企業論理から新システム開発が行われて。126、や110サイズ,ディスクサイズなどの新システムだ。新カートリッジフィルム開発などの大掛かりな開発が行われたがすべて失敗に終わった。

これらはユーザーの利便性が全く無いわけではないが、フィルムのサイズが小さくなり、写真の品質、特に粒状性などは低下し、フィルム交換が少し簡単になる程度のことで、逆に現像所では新システムに必要な、新たな処理機への膨大な投資が行われたが、いずれのシステムも数年で消滅し、常に互換性が高い、135ミリフィルムに戻ってしまった。これが顧客優先を忘れた企業への民意の表明であッ他のだろう、大きな顧客価値や感動が得られたとしても、互換性を無視したら、けしてお客様の支持は得られないということだと思う。

これに懲りず、デジタルへの最後の備えとして行われたのが、APS開発という5社連合の大プロジェクトであったが、企業論理の新提案であったから、フィルムはやはり135ミリに戻ってしまい、デジカメの台頭を早め、アナログの寿命をちじめる結果となってしまった。デジタルでも各社が一人勝ちを狙って互換性無視の媒体や規格提案を続けている。ムーアの法則にしたがって進化するのは当然ではあるが、互換性を無視するとBlu-RayやHD-DVD競争のように、民意のしっぺ返しにあいかねない。

その点優れた互換性と思えるのはコンパクトディスクCDやDVDやBlu-Discなどの光ディスクであろうか。外形が12cmで統一され、CD規格は25年たっても健在で、DVDマルチドライブやBlu-RayドライブになってもCD規格をサポートしている。アジアやアフリカなど発展途上国のパソコンではCDが標準だが、先進国ではDVDやBlu-Rayドライブに移行してもこのCD規格をサポートしており、互換性の点できわめて優れている。旧システムを切り捨てて進化してきたデジタル業界では、光DISCは顧客優先の互換性を維持しながら、進化している稀有なシステムであることがあまり知られていないが特筆すべき特徴と思われる。

音楽CDなどのコンテンツがROMとして膨大に流通している限り、今後も光ディスクはマルチシステムをサポートしながら互換性を維持して長寿に生き残ると思われ、写真を100年先に遺し、ポータブルにシェア出来、長く鑑賞するための媒体としては最適であろうと思っている。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP